ワイン下北ワイン奇跡の物語

風聞があれど果敢に挑戦!「サンマモルワイナリー」のワイン造り ~黒葡萄・スチューベンが生み出した津軽ワインの成功物語~

自社畑で栽培したワイン用葡萄でワインを製造・販売していた「サンマモルワイナリー」は、 10haの葡萄畑で100t葡萄を収穫して10万本のワインを造り販売する目論見であったが、現実には1/3ほどしか収穫できない状態であった。

なんとか収穫量をあげることができないか社長 北村が青森県農林水産政策課へ相談に赴き、青森県特産品であるスチューベンの栽培方法を学んではどうかとアドバイスを受ける。紹介された青森県葡萄貯蔵組合を訪ねると、ちょうど収穫期のたわわに実ったスチューベンを見つけ、この葡萄を使用してはどうかと閃いた。

ところが組合幹部から、「スチューベンでワインを作るのは止めた方が良い」、「以前スチューベンでワインづくりに挑戦した会社がうまくいかず、製造を断念した。津軽地方において“スチューベンのワインは美味しくない”とレッテルを貼られているので、販売するのは難しいのでは。」との話を聞かされる。

しかし北村は諦めなかった。なんとかスチューベンから作ったワインで成功を収め、経営を軌道に乗せるしかない。その一心でスチューベンでのワインづくりが始まった。

戦略の一つとして“まずい”という印象を覆すため、スチューベンを冷凍庫で凍らせ、人工的に『アイスワイン』をつくった。極甘口のロゼワインに仕上げ、国産ワインコンクールに出品したところ、見事銅賞を受賞。マスコミに取り上げられ、このワインは完売した。そしてスチューベンから作られたワインでも、美味しいワインができることを多くの方に知ってもらえる機会となった。

これを皮切りに様々なスチューベンワインを製造。その中の一つが黒い葡萄から作った白ワインだ。白ワインといっても若干果皮の影響を受け、オレンジがかった色合いとなる。

スチューベンから作られる白ワインはキリッとした辛口で、水産業が盛んな青森県ではホタテや白身魚と合わせても、スチューベン特有の果実味と酸により魚介類特有の臭みを助長せず、相性の良いワインとして評判を呼んだ。

誰もが手を出さなかったスチューベンだったが、スタイルを変え美味しいワインを作る。 そして必ずこの難局を乗り切ると決意したことで、「津軽ワイン」誕生の奇跡が起きた。

現在スチューベンを使ったワインは青森県大鰐町にある「サンマモルワイナリー第2工場」で主に製造しており、「津軽ワインシリーズ」として名をはせている。

2019年に行われた女性が審査する国際的なワインコンペティション「サクラジャパンウーマンズワインアワード2019」において津軽ワインレッドスチューベン2017がゴールド受賞、「オイスターワインコンテスト2019」において津軽ワインホワイトスチューベン2017が日本ワイン特別賞受賞。

「ジャパン・ワイン・チャレンジ2020」では津軽ワインホワイトスチューベン2018、津軽ワインホワイトスチューベンSWEET2019が共にブロンズを受賞しており、日本ワイン業界でもポピュラーな存在になりつつある。

 この時期におすすめしたいワインが「津軽ワインホワイトスチューベンSWEET2019」 甘酸っぱさや白い花をイメージさせる華やかな香り。
良年である2019年に収穫されたスチューベン特有の程よい酸が甘い香りをささえ、まるでぶどう畑にいるような感覚に包まれる。 先日行われた「サクラジャパンウーマンズワインアワード2021」ではシルバー受賞が発表され、いま特に女性から支持を集めているワインのひとつである。

スチューベンの生産量1位の青森県ならではの「津軽ワイン」
是非とも一度味わってもらいたい逸品だ。




津軽ワインホワイトスチューベン2020
2,530円



おすすめ