2021年を一言で表現するなら「グレートヴィンテージ」。年間の降水量が非常に少なく、それぞれの時期に適切な栽培管理ができました。ぶどうも病果が全く無く、熟度も非常に高い状態で収穫できました。
例年よりも寒さが厳しく、昨年度末から1月は豪雪となり、枝が半分隠れるほどの積雪となりました。剪定進捗状況が不安ではありましたが、作業効率の悪化と作業者の安全性を考え、1月中旬から2月中旬まで剪定作業を中止しました。1か月後、作業を再開させ、ぶどうの目覚め前に作業を完了することができました。
降水量が少なく、天候に恵まれ、日照量も多く、例年に比べて温暖な春となりました。萌芽から展葉までの間に懸念されていた遅霜の被害もなく、4月から誘引作業、5月中旬からは芽かき作業が始まりました。
梅雨時期の雨量は例年並みでしたが、開花期から結実の時期に少量の雨が降りました。結実不良が心配されましたが、結果的に杞憂に終わりました。8月に入ると雨量が多くなり、日照不足が懸念されましたが、中旬以降に回復し、例年よりも早いタイミングでヴェレゾン期に入ることができました。夏期全体を通しての雨量が少ないことが幸いし、副梢の摘芯と除去、誘引、草刈り等の作業を遅延なく進めることができました。
本格的なヴェレゾン期に入った9月は雨量も少なく、好天に恵まれたことにより日照時間が例年よりも多くなりました。例年であれば9月中旬より灰カビ病等の発生が確認できますが、1年間を通しての適切な圃場管理、病害虫の防除に努めたおかげで収穫を迎えることができました。収穫された葡萄は例年以上の収量となっただけではなく、非常に高い糖度とそれに負けない酸味を感じられるバランスが取れた高品質な葡萄となりました。
2021年の収穫はシュロンブルガーが9月20日、23日からライヒェンシュタイナー、9月末よりピノ・ノワール等の赤系統の収穫が順次開始されました。例年に比べて早いタイミングの収穫ではありましたが、どの品種も糖度が非常に高く、シュロンブルガーに関しては過去最高の糖度となりました。また、糖酸比のバランスも良好であり、果房そのものの熟度を高めつつ、当社ワインの特徴でもある、芯の通った綺麗な酸味を残したまま収穫することが出来ました。ピノ・ノワールについては白系品種と同様に病果は全く無く、非常に健全な状態で収穫が出来ました。好天に恵まれたこと、圃場部門スタッフの栽培努力もあり、葡萄の熟度、健全性などほぼ完璧な状態での収穫を迎えることが出来たと言えます。
収穫されたシュロンブルガー、ライヒェンシュタイナーは病果や腐敗果はほぼ無く、非常にクリーンな状態で発酵を行う事が出来ました。シュロンブルガーに関しては発酵温度を厳密にコントロールすることにより、品種特性香である、マスカット香やかんきつ類を思わせる香りを例年よりも強くワインに残すことができ、酸味とのバランスが取れたワインに仕上がっています。
ライヒェンシュタイナーに関しては除梗破砕、搾汁、発酵の段階での酸化を極力抑える措置により、特徴的な小さな白い花の香り、青リンゴ等の特徴的な香りをより強めることができ、飽きの来ない爽やかな甘みと酸味が味わえるワインに仕上がっています。
ピノ・ノワールのワインは、過去最高ともいえる品質・味わいのバランスで収穫でき、発酵時の管理についてもえぐ味、苦味等の余分な成分の抽出を極力抑えることができたので、例年以上にベリー系、チェリー等の品種特性香を強めつつ、白ワインを思わせる繊細でエレガントなワインに仕上がっています。
※引用:わいんびと「ヴィンテージレポート」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000093187.html